男性のための離婚相談

はじめに

  • 男性から離婚を求める場合、無条件に慰謝料を支払わなければいけないのか?
  • 別居中の妻が多額の生活費や子どもの塾代の支払いを求めてきたが、全額支払わなければならないのか?
  • 自分名義の住宅ローンは、離婚後に妻が住むことになるとしても、支払い続けなければいけないのか?
  • 妻とは離婚したいが、離婚後は子どもに会うことはあきらめなければならないのか?
  • 親権争いは女性に有利だと聞くが、男性は親権を諦めるしかないのか?

答えはいずれも「NO」です
一般的に「不利」といわれる男性の離婚問題においても、離婚分野に熟知した弁護士の介入があれば、男性が納得できる離婚問題の解決を得られます。
このページでは、男性が離婚問題において「不利」であるといわれる理由と、男性の離婚に際して知っておくべき基本事項についてご説明します。

目次

男性が離婚問題において「不利」といわれる理由

一般に、男性は離婚に際して、多額の金銭を支払ったうえに愛する子どもとの関係も絶たれてしまうというイメージがあり、男性は離婚問題において「非常に不利」であると考えられています。
そのような考えが一般化した原因として、以下のような事情があります。

① 男性の方が高収入である夫婦が多く、かつ、住宅や預貯金も男性名義であることが多いので、婚姻費用や養育費、財産分与等の金銭面で男性が「支払う側」になる。

② 裁判所で子の親権者を決めるにあたっては、以下の事項が重視される。
 a) 同居中、主に子どもの面倒を見ていたのはどちらだったか(主たる監護者はどちらか)
 b) 母性的な役割を果たしていたのはどちらか
 c) 監護状況をできるだけ変更せず維持できるか
 d) 兄弟を分離せずに監護できるか
これらの事項について、夫が生計を立てるために主として働き、妻が日常的に子の世話をする家庭が多く、その結果、母親が親権者になるケースが多い。

③ 子の面会交流については、同居親が面会交流の実施や条件について主導権を持つことになり、同居親は母親であることが多い。また、家庭裁判所の審判等で面会交流の条件を決めたとしても、決められた内容での面会交流の実施を確保することが法制度上難しい

男性は離婚に際して「何もできない」のか

では、男性は離婚に際して「何もできない」のかというと、決してそうではありません。

相手の金銭的要求が過分であれば、毅然とした対応を取るべきです。妻に不貞やDV等有責な行為があれば男性側もしかるべき主張をし、慰謝料の支払いや相手からの金銭請求に対する減額を求めます。
また、お子さんとの関係においても、双方のこれまでの育児の状況やお子さんとの関係を冷静に分析し、状況によってはご自身が親権を主張して、「お子さんの幸せに資する」離婚条件の実現を目指します。

男性が離婚に際して知っておくべき基本事項

男性が離婚に際して直面する主要な問題ごとに、知っておくべき基本事項の説明をいたします。

(1)離婚理由について

夫婦双方の合意の上で離婚する協議離婚や調停離婚であれば、相手が納得している以上、離婚の理由はどのようなものでも問題になりません。しかし、相手が離婚に応じない場合には、それが裁判で認められるかどうかが重要な問題になります。

民法770条1項は、裁判離婚が認めらえるための事由(法定離婚事由)を以下の5項目と定めています。

① 配偶者に不貞行為があったとき(いわゆる不倫)。
② 配偶者から悪意で遺棄されたとき
③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
⑤  その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

裁判で離婚が認められるのは、相手に①から⑤の事由がある場合です。あなたが離婚を求める場合には、妻に、不貞行為、悪意の遺棄、強度の精神病のほか、暴力、性生活の拒否、アルコール依存、行き過ぎた宗教活動、浪費などの婚姻を継続し難い重大な事由があるという認定を得ることが必要です。

したがって、妻から離婚を求められている場合でも、上記のような離婚事由がない限り、裁判で離婚することは困難ですから、あなたが離婚を望まない場合に直ちに離婚が成立することはありません

もっとも、明確な離婚原因がなくとも、別居期間が長くなると、離婚事由が補完される場合があります。一般的には、別居から少なくとも3年程度は経過しないと離婚が認められないでしょう。

また、あなたにまったく心当たりがないにも関わらず、妻から一方的に離婚を迫られている場合には、実は妻が不倫している、という可能性もあります。妻の不満に気づけなかっただけという場合もありますが、状況によっては、調査会社に依頼をして不倫の有無を確認することも検討すべきでしょう。不倫の証拠があれば、離婚問題において有利な立場を得ることができます。

(2)経済面について

婚姻費用 婚姻費用は、端的にいうと日常生活に必要な費用のことです。たとえ別居中であっても、婚姻を解消するまでは収入に応じて相互に婚姻費用を分担する義務を負うことが原則です。多くの家庭で夫の方が収入が多いため、婚姻費用を支払う側になります。
婚姻費用は、双方の収入と子の人数・年齢を基にした裁判所の算定表をベースに様々な事情を加味して算定されますから、不当に高額な請求に対しては減額を求めます。また、不貞行為など妻の有責な行為によって別居に至った場合には、妻の生活費相当分の支払義務が否定されて、子の養育費相当分の支払義務だけが残り、大幅な減額になるというケースもあります。
養育費 養育費も婚姻費用同様、裁判所の算定表をベースに算定されますから、不当に高額な請求に対しては減額を求めます。
私学の学費や塾代については、当然に父親が支払義務を負うというものではなく、①養育費を支払う側が私学や塾に通うことを承諾したかどうか、②承諾していなかった場合には、支払う側の社会的地位や学歴、収入等から、私学や塾に通うことが不合理ではないかどうかを基準に、費用負担の有無を判断します。また、仮に費用負担すべきと判断された場合でも、必ずしもに全額負担するという意味ではありません。
財産分与 財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が築いた財産を離婚時に清算する制度で、原則として2分の1ずつに分けます。預貯金や不動産などの財産は夫名義のことが多いため、男性が「支払う側」になる傾向があります。
財産分与の割合は原則として2分の1ですが、個人の特殊な技能や過酷な環境に身を置くことで高収入を得ていたケースや、婚姻前から有する特有財産を支出して財産を形成したケース等、特別な事情があれば2分の1の割合が修正される可能性があります。
夫名義の住宅ローンが残っている自宅に、離婚後、妻が住み続けることを希望したとしても、妻側の希望を一方的に受け入れる必要はありません。妻が自宅に住み続ける場合には、①住宅ローンを妻名義に借り換えする、②住宅ローンを夫名義のままにする場合には、妻が夫に家賃を支払う等の方法が考えられます。住宅ローンが残った自宅の清算は、自宅を売却して債務等を差し引き、残額を2分の1ずつ分けるケースが多いです。
慰謝料 離婚に際して慰謝料が問題になるのは、夫婦のどちらかが「有責配偶者」である場合です。
有責配偶者とは、離婚に至る主な原因を作り出した配偶者をいい、不貞行為をした配偶者が典型的な例です。
したがって、男性が離婚を希望したとしても、直ちに慰謝料の支払義務を負うわけではなく、相手が不貞行為をしたような場合には、むしろ男性が請求する立場になります。

(3)離婚と子どもについて

親権 親権とは、未成年の子を監護養育し、その財産を管理する権利及び義務をいいます。すでに述べた通り、母親が親権を取得する事例が圧倒的に多いというのが現状です。
しかし、すべての事例で母親に親権が認められるというわけではなく、母親が虐待やネグレクトをした場合や父親の方が監護養育に適していると認められた場合には、父親が親権を取得することも可能です。
裁判所で親権を争う場合に考慮される事項を踏まえ、お子さんの福祉のために、ご自身が親権を主張するか、親権を求める場合には、どのようにアプローチすべきかの道筋を立てます。
面会交流 面会交流とは、離婚や別居などにより離れて暮らすことになった親と子が、面会等を通じて交流を持つことをいいます。親と子の交流が子の健全な成長に資するという考えに基づき実施されます。
面会交流は、同居する親が事実上主導権を持つことになり、実施を確保することが難しい面がありますが、子の福祉を第一に考える姿勢を示しながら、面会交流の実績を積み重ねることが重要です。
弁護士としては、相手に面会交流の不当な拒絶をさせないよう留意しつつ、相手が不当に拒絶する場合には、裁判所での手続きを見据えた対応を取ります。

男性の離婚問題は弁護士細江智洋にお任せください

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このようなトラブルは、一般に男性に不利であると考えられています。

しかし、男性の離婚問題について熟知した弁護士であれば、専門知識と豊富な経験によって、相手の要求の妥当性を判断し、依頼者様の置かれた状況に応じた適切な手段を講じて、ご希望をかなえられることもあります。実際に、依頼者様の冷静で粘り強い姿勢と弁護士の適切なアプローチにより、父親である依頼者様が親権を取得した実例もございます。

弁護士細江智洋は、離婚問題・家族問題を専門とする弁護士として、依頼者様に現実的な見通しをお伝えしつつ、相手の不当な要求には毅然とした対応をし、有効な戦略によって依頼者様の経済的利益と大切なお子様との関係を最大限守ります

なお、男性の方の多くは日中お仕事をされており、事務所にご来所いただくことが難しいことと思います。当事務所では、web面談等により柔軟に対応させていただきますので、お忙しい方でも安心してご相談いただけます。

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