慰謝料を請求したい方

はじめに

配偶者の不倫を知り、不倫相手への慰謝料請求を検討されている方へ

 配偶者の不倫に気づいたとき、真っ先にすべきことは証拠を押さえることです。

そして、できるだけ不倫相手の氏名・住所を確認しましょう。不倫相手の氏名・住所がわからないと慰謝料請求ができなくなってしまいます。
(不倫相手の氏名・住所がわからなくてお困りの方は、弁護士細江智洋にご相談ください。)

 ひとまず不倫の証拠、不倫相手の氏名・住所を押さえたら、次に今後のことを考えましょう。

不倫した配偶者との結婚生活をどうするか、配偶者と不倫相手に対して慰謝料請求をするかどうか。
悩んでいらっしゃる方は弁護士細江智洋にご相談ください。
30分間の無料相談で、今後の見通しについてお話ししましょう。

 配偶者に不倫され離婚を検討している方はこちらもご覧ください

 配偶者の不倫が原因の離婚相
 →専業主婦の方の離婚相談
 →熟年離婚(婚姻期間20年以上の方)の法律相談

ここでは、不倫慰謝料の請求を検討されている方に向けて、不倫慰謝料とは何か、慰謝料の相場、請求の相手や消滅時効の制度など、不倫慰謝料を請求するための基本的な知識についてご説明します。

目次

不倫慰謝料とは

そもそも慰謝料請求の対象となる不倫とはどんなもので、どのような条件を満たせば裁判で請求が認められるのでしょうか。以下の3項目に分けてご説明します。
1) そもそも不倫とは
2) 不倫慰謝料を請求するための条件とは
3) 証拠がない場合

1)そもそも不倫とは?

慰謝料請求ができる不倫のことを、法律上は不貞行為といいます。
不貞行為とは、配偶者のある者が自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を持つことをいいます。不貞行為は、民法770条1項に定める法定離婚事由の一つであり、配偶者が不倫をした場合には、通常、裁判で離婚が認められます。
そして、配偶者が不貞行為をした場合、配偶者とその相手に対し慰謝料を請求できます。離婚や別居をしない場合にも不倫相手に対し慰謝料請求できますが、離婚や別居をした場合に比べると金額は低くなります。

2)不倫慰謝料を請求するための基本的な条件

裁判で不倫慰謝料を請求するためには、以下の4つの条件を満たす必要があります。

① 配偶者が不倫相手と性的関係をもったこと
② 性的関係が、自由な意思に基づいていること
③ 不倫相手に請求する場合、相手が既婚者であることを知っていたこと(または知らなかったことについて過失があること)
④ 不倫が原因で離婚に至るなど、平穏な婚姻生活が害されたこと

※不倫する前から夫婦関係が破綻していた場合には、基本的に請求が認めらません。
※犯罪行為等により相手の同意を得ていない場合、相手は被害者であり慰謝料請求できません。

また、慰謝料請求には消滅時効などの時間的な制約があります。後にご説明します。

3)証拠がない場合

事実として①~④の条件を満たしている場合でも、不倫の証拠がなければ交渉段階で不利になってしまいますし、相手が不倫の事実を否定してきたときに不倫の証拠がないと、裁判で不倫があったと認めてもらうのが難しくなってしまいます。
しかし、不倫した配偶者や不倫相手が不倫の事実を認めて、証拠を示されなくても支払いに応じる場合もありますから、証拠がなければ一切請求してはいけないというものではありません。

不倫慰謝料の相場

(1)裁判で不倫慰謝料を請求する場合の相場

離婚や別居に至った場合 100万円~300万円
ただし、多くの事例が200万円前後です。
離婚や別居しない場合 30万円~150万円
ただし、100万円を下回るケースが多いです。

(2)金額を決めるときに考慮される事情とは

裁判で不倫慰謝料の金額が決まる場合には、一般的に以下の事情が考慮されます。

婚姻期間の長さ 配偶者が不倫をした時点での婚姻期間が長い場合、金額が高くなる傾向にあります。
不倫していた期間の長さ・回数・頻度・態様 長期に及ぶ不倫で頻繁に何度も不貞行為があった場合や、不倫関係を解消したと嘘をついて隠れて関係を維持していたなど態様が悪質な場合などは、増額する要因になります。
また、不倫によって妊娠したり子どもが生まれた場合も増額する要因になります。
夫婦関係への影響の度合い 円満な夫婦関係が不倫により破綻し、別居や離婚に至った場合には、金額が高くなる傾向にあります。他方で、不倫が始まる前から夫婦仲が悪かった場合や、別居や離婚に至っていない場合には減額する要因になります。
子どもの有無・年齢 小さなお子さんがいるのに不倫により夫婦関係が破綻したような場合には、増額する要因になります。
不倫相手の認識の程度や悪意 既婚者であることについて不倫相手が知っていたのか、過失により知らなかったのか、また、既婚者であると知りながら離婚させるような積極的な意図があったのか等も考慮されます。
不倫された配偶者(請求する人)の精神的苦痛の程度 配偶者の不倫によりうつ病になってしまった場合や、闘病中、妊娠中に不倫された場合等は、増額される傾向にあります。
その他 不倫した配偶者や不倫相手が反省の態度を見せ謝罪した場合や、すでに社会的制裁を受けた場合、慰謝料請求する側も過去に不倫をしたなど落ち度がある場合などの事情も考慮されます。

請求する相手と求償権について

(1)請求の相手方について

 不倫慰謝料は、①不倫をした配偶者のみに請求することも、②不倫相手のみに請求することも、③配偶者とその不倫相手の両方に請求することもできます。

ただし、不倫した配偶者とその不倫相手は、共同不法行為者として、それぞれが慰謝料の全額を支払わなければなりませんが、どちらか一方からすでに適正な金額の支払いを受けている場合、さらに他方に請求できるわけではないので、支払われる慰謝料の額が2倍になるわけではありません。

(2)求償権について

不倫相手にのみ慰謝料請求をしたいという場合でも、慰謝料の支払い後に不倫相手があなたの配偶者に対して求償権を行使するかもしれないので、婚姻関係の修復を希望しつつ不倫相手にのみ慰謝料を請求するような場合には注意が必要です。
不倫した配偶者とその不倫相手は、それぞれが慰謝料の全額を支払わなければなりませんが、慰謝料を支払った一方は、支払いをしていない他方に対して、自分の負担割合を超えて支払った金額の求償を求めることができます。
負担割合とは、不倫をした二人が慰謝料について責任を負うべき割合のことです。裁判で求償を求める場合にはこの負担割合についても判断されますが、配偶者6割:不倫相手4割など、事案によって異なります。

(3)求償権の行使を回避する方法

配偶者への求償権の行使を阻止するために、不倫相手の負担割合に相当する金額のみを請求して配偶者の負担割合分を減額し、他方で不倫相手に求償権を放棄してもらうという方法がありますが、これは不倫相手との話し合いができる場合に限られます。負担割合も話し合いで決めることになります。

不倫の証拠について

(1)不倫慰謝料請求と証拠

不倫をしていたことについて、証拠なく素直に認める人は多くありません。そして、不倫慰謝料を請求する場合、不倫の証拠がなければ交渉段階で相手の譲歩を引き出すのは難しくなってしまいます。また、相手が不倫の事実を否定しているときに客観的な証拠がなければ、裁判での慰謝料請求も困難になってしまいます。
配偶者の不倫を知ったら、まずは不倫の証拠を押さえましょう。

(2)不倫慰謝料請求における証拠とは

不倫慰謝料請求をするために必要な証拠とは、①配偶者と不倫相手が性的関係を持ったことを示す証拠②不倫したときに既婚者であることを知っていたこと(または知らなかったことについて過失があること)を示す証拠です。
①については、単に仲がよいことや恋愛感情があることを示すだけでは足りません。②については、既婚者だと知っていたことがわかるメッセージのやり取りや、職場の同僚であった等、既婚者であることを当然知っていたであろう事情を示す証拠があるとよいです。
不倫の証拠となり得そうなものは、直接的でなくてもひとまず保管し、ご相談ください。
同じような証拠であっても、不貞の頻度や回数が多ければ慰謝料の額が増える可能性があるので、回数や頻度を示す証拠として使用する可能性があります。捨てずに保管してください。
また、証拠がなくてお悩みのご相談者様には、必要に応じて信頼できる調査会社をご紹介しています。

典型的な不貞の証拠についてのご説明はこちらをご覧ください

不倫慰謝料請求の方法

実際に不倫慰謝料を不倫相手に請求するための代表的な方法についてご説明します。

話し合いや郵便で請求する 不倫をした配偶者や不倫相手と直接話し合いをしたり、書面を郵送して慰謝料を請求することが考えられます。郵便で請求する場合には、どんな内容の郵便をいつ送ったかを明らかにするため、内容証明郵便を使いましょう。
相手が請求に応じて、慰謝料の支払いについて合意ができた場合には、そのことを書面に残しましょう。相手が約束通りに支払わない場合には、裁判や強制執行を検討することになります。
合意書を作成しておけば、裁判になったときに慰謝料の支払いについて合意があった証拠になりますし、相手が強制執行に服する旨の記載がある公正証書(強制執行認諾文言付公正証書)を作成できれば、その公正証書に基づいて直ちに強制執行することができます。
裁判(訴訟) 不倫相手が交渉段階で請求に応じない場合や、慰謝料の金額や条件が折り合わない場合には、裁判所で訴訟提起をします。請求金額が140万円以下の場合には簡易裁判所に、140万円を超える場合には地方裁判所に訴えを提起します。

※決められたとおりの支払いがない場合には

不倫慰謝料の支払いについて話し合いがまとまり合意書を作成したにも関わらず、相手が約束通りの支払いをしなかった場合には、裁判であらためて請求することになります。

強制執行認諾文言付公正証書を作成した場合や裁判で慰謝料請求が認められた場合には、強制執行について検討します。

強制執行は、相手にどんな財産があるのかを知らなければ申立てできません(相手の財産を知るための手続きとして、財産開示手続きや第三者からの情報取得手続きというものがあります)。相手が仕事をしていて給料をもらっていえる場合には、給料を差し押さえることも可能なので、就業先を知っているとよいです。

不倫慰謝料請求の消滅時効について

不倫慰謝料の請求は、行使せずに一定期間が過ぎると消滅時効が完成して、相手に支払いを拒まれてしまうおそれがあります。

(1)不倫慰謝料と消滅時効

不倫慰謝料請求権は、損害(不倫)および加害者(不倫相手の氏名・住所)を知った時から3年間、不倫があったときから20年間権利行使しないときは、時効により消滅します。

時効による請求権の消滅は、請求された相手の「反論」として裁判の中で主張されたり、交渉段階で支払いを拒まれる理由になります。

※令和2年3月31日以前に不法行為から20年以上経過した場合には、民法改正前の「除斥期間」の規定が適用されます。この場合には、相手が時効の主張をするかどうかを問わず、裁判では慰謝料請求が認められなくなります。

不倫そのものに対する慰謝料請求 不倫の事実と不倫相手の氏名・住所を知ったときから3年
不倫があったときから20年

(2)消滅時効の完成猶予・更新

消滅時効の完成を防ぐためには、時効の進行を止めなければなりません。ここでは、代表的な方法についてご説明します。

内容証明郵便等で請求する(催告) 請求(催告)のときから6か月間時効の完成が猶予されます。請求したことを証明できるよう内容証明郵便を使うとよいでしょう。
相手が請求に応じて支払いをしない場合には、時効完成前に裁判を起こすことを検討します。
裁判(訴訟)の提起 裁判中も時効の完成が猶予されます。裁判で請求が認められた場合や和解が成立した場合にはそれまでの時効の進行がリセットされ、今度は10年の消滅時効が進行します。
協議をする旨の合意を書面でした場合 慰謝料の支払いについて相手と協議を行うという合意をし、そのことを書面(または電磁的記録)にした場合には、一つの合意で最長1年間、再度の合意を繰り返すことで最長5年間、時効の完成が猶予されます。
合意後に相手が協議を拒む内容の書面を通知してきた場合には、その通知のときから6か月時効の完成が猶予されます。
債務の承認 不倫相手や不倫した配偶者が慰謝料の支払いを認めた場合には、これまで進行していた時効がリセットされ、新たに3年と20年の時効が進行します。
「承認」には、相手が慰謝料の支払いについて同意する等のほかに、慰謝料の一部を支払った場合も含まれます。

請求する相手の職業別対応方法

交渉や裁判で不倫慰謝料請求が功を奏し金額が決まったとしても、相手が決められたとおりの支払いをしてくれるとは限らず、支払いがない場合には、強制執行を検討しなければなりません。しかし、強制執行の準備をしても、相手にめぼしい財産や収入もなければ、強制執行は空振りに終わってしまいます。
したがって、決められたとおりに支払いをしてくれそうか、強制執行ができる財産や収入あるかどうかは、不倫慰謝料請求の方針を決める上で重要な情報になります。
そこで参考になるのが、請求する相手の職業です。職業別の対応法については下のリンクをご覧ください。
 → 相手の職業別の対応方法についてはこちらをご覧ください

弁護士に依頼した場合の対応の流れ

ご依頼いただいた場合の不倫慰謝料請求の流れについてご説明します。
 → こちらをご覧ください

慰謝料請求をしたい場合の料金のご案内

着手金  交渉段階 110,000円(税込)

     訴訟段階 330,000円(税込)

報酬   22万円または22%(最低報酬22万円)

不倫慰謝料相談室の詳細はこちら

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