熟年離婚のご相談
このようなお悩みはございませんか?
- 家族のために、ずっと自分を犠牲にしてきた。もう子供も自立したし、これからは自由に生きたい
- 夫は私に感謝してくれない。ずっと我慢してきたけれど、これからは自分を大切にしたい
- 離婚後、一人で生活できるか。経済的に不安だけれど、このままの生活を続けることは耐えられない
- 夫が定年退職した。性格の合わない夫とずっと一緒にいるのは嫌だけれど、一人で生活していて病気になったら、どうしよう?
- 子どもはもう自立したし、私もこれからは自由に生きたいけれど、将来私の介護が必要になったときに、子どもに迷惑はかけたくない
はじめに
長い間我慢を重ねて、やっと自分の幸せについて考える時間ができたというあなたへ。
弁護士細江智洋は、これまで、長年の婚姻生活の末に離婚を決意するに至った多くの方々のお悩みに耳を傾け、高度な法律上の知識と豊富な経験に基づき、解決に導いてまいりました。
熟年離婚を希望される方の中には、つらかった婚姻生活から解放され、ご自身の幸せを大切にしたいと願う方がたくさんいらっしゃいます。しかし、長く専業主婦をされていた方々の多くは、離婚後の生活に不安を抱え、なかなか離婚に踏み出せません。
ここでは、これまでの弁護士としての経験に基づき、熟年離婚の特徴と、熟年離婚に特徴的な財産分与についての解説、それらを踏まえた熟年離婚を後悔しないために必要な準備、財産分与のためのリストアップのコツ、熟年離婚について弁護士に相談すべき理由についてご説明します。
目次
熟年離婚の特徴について
まず、熟年離婚とは、一般には、婚姻期間が長く、互いに年齢を重ねた夫婦の離婚をいいますが、ここでは、婚姻期間20年以上の夫婦の離婚を熟年離婚といいます。
そして熟年離婚には、
1) 双方の合意で離婚することが難しい
2) 裁判で離婚原因を主張・立証するのが難しい
3) 財産分与の金額が大きく、争点化しやすい
という3つの大きな特徴があります。以下で詳しくご説明します。
1) 双方の合意で離婚することが難しい
離婚を成立させるためには、協議離婚、調停離婚、和解離婚などで相手が任意に離婚に応じるか、判決離婚という形で裁判所が強制的に二人を離婚させるかの2通りしかありません。そして、婚姻期間が長い熟年離婚においては、判決で離婚が認められるために、長期に及んだ婚姻を解消するだけの相応な理由が必要になります。
私自身が経験した様々な案件の中でも、いわゆる熟年離婚と呼ばれるような離婚は、一方の配偶者が離婚を望んでも、他方の配偶者が様々な理由を述べて、容易に離婚に応じない事例が多い印象です。
特に、男性の場合は心情的理由(老後を一人でどのように過ごしたら良いか分からないなど)から、女性の場合は経済的な理由(老後の生活費をどのように捻出したら良いか分からないなど)から離婚に応じられないケースが多いように感じます(もちろん、すべてそうだというわけではありません)。
2) 離婚原因の主張・立証が難しい
1)に関連して、熟年離婚には、判決で離婚を認められるための離婚原因を、裁判で主張・立証するのが難しいという特徴があります。
判決で長期にわたる婚姻を解消するためには相応の理由が必要とされますが、熟年離婚においては、性格の不一致や夫が家庭を顧みないなど、日常のストレスの積み重ねが原因で離婚を決意するに至ったというケースが多く、夫に不貞行為やDVがあった場合に比べて、裁判で離婚原因を主張・立証することが難しい傾向があります。
3) 財産分与の額が大きく、争点化しやすい
熟年離婚の場合、お子さんはすでに大人になり自立しているケースが多く、親権や養育費、面会交流といった子どもに関する問題は少ない傾向にあります。しかし、熟年離婚は婚姻期間が長いため、預貯金、不動産、退職金、生命保険などの財産分与の額が大きくなり、この財産分与の金額について折り合いがつかず、争点となることが多くあります。
(財産分与の額については次項でご説明します)
熟年離婚における財産分与について
熟年離婚における重要なポイントである財産分与について、以下の項目に分けて、詳しくご説明します。
1) 財産分与とは
2) 清算の割合について
3) 熟年離婚では、財産分与が1000万円を超えるケースが増えている
4) 熟年離婚は、財産分与との関係で急いだ方がよい場合がある
1)財産分与とは
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が築いた財産を離婚時に清算する制度です。
財産分与は、夫婦の話し合いや家庭裁判所の調停、審判、裁判などで請求します。
離婚が成立した日から2年以内に請求しなくてはいけません。
→ 財産分与についてはこちらもご覧ください
2)清算の割合
専業主婦であっても、婚姻後に基本的には築いた財産を2分の1ずつ分け合うことになります。
ただし、夫婦の一方が有名なスポーツ選手で個人の特殊な技能などにより多くの収入を得ていた場合や、夫婦の一方が特有財産(婚姻前の預貯金等)から支出をして財産の形成に寄与した場合など、2分の1ルールが修正されるケースもあることに注意が必要です。
3)熟年離婚では、財産分与が1000万円を超えるケースが増えている
令和5年度司法統計によると、離婚調停(調停に代わる審判を含む)により離婚が成立した事件で財産分与の取り決めがあった事案のうち、婚姻期間が20年を超える事案では、財産分与の額が1000万円を超えるケースが23%(1000万円超と2000万円超の合計)あり、婚姻期間が25年を超える事案においては、財産分与の額が1000万円を超えるケースが31%(1000万円超と2000万円超の合計)に上がっています。さらに、婚姻期間が25年を超える事案では、財産分与の額が2000万円を超えるケースが13%もあります。
円グラフのとおり、婚姻期間が20年未満の場合と比較すると、婚姻期間が20年以上の離婚事案においては、財産分与の額が高額になる傾向があることがわかります。
このように、熟年離婚においては、財産分与の額が高額になる傾向があり、その分、財産分与の額を巡る争いで紛争が長引いたり、妥当な額かどうかの判断が難しくなります。
4)熟年離婚は、財産分与との関係で急いだ方がよい場合がある
熟年離婚では、財産分与に退職金が含まれることが多くあります。
今後退職金が支払われる見込みが高い場合や、支払われた退職金が残っている場合には、必要に応じて退職金を差し押さえることで財産を確保できます。しかし、退職金の支払い後に離婚する場合、すでに支払われた退職金はどんどん減ってしまうおそれがあり、退職金の支払い後、時間がたってから離婚をしようと行動しても、財産分与を行う際にはほとんど残っていないという事態になりかねません。
このような事態を避けるためにも、長年のパートナーとの離婚を少しでも検討されている方は、お早めに弁護士細江智洋までご相談下さい。
熟年離婚を後悔しないために必要な準備とは?
熟年離婚の特徴を踏まえ、熟年離婚を後悔しないために
1)離婚したい理由を整理する
2)別居期間中や離婚後の住居や生計維持の方法を考える
3)婚姻中に築いた財産をリストアップする
4)老後の心身の不調や老い支度についても備えておく
という4つのポイントを押さえておきましょう。以下で詳しくご説明します。
1)離婚したい理由を整理しましょう
熟年離婚を検討するにあたっては、まず、ご自身が離婚したいと思う理由についてよく分析し、整理することが大切です。
熟年離婚においては、相手が離婚に応じないケースが多く、しかも、裁判で離婚原因を主張・立証するのが難しい傾向にあります。
裁判で離婚を求めることになった場合、法律で定められた以下の離婚事由のいずれかに当てはまる必要があります。
① 配偶者に不貞行為があったとき(いわゆる不倫)。
② 配偶者から悪意で遺棄されたとき
③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
熟年離婚においては、長い婚姻期間中に重ねてきた我慢から解放されたい、といった理由で離婚を希望する方が多く、こういった場合には、⑤にあたることを主張・立証する必要がありますが、長期にわたる婚姻を解消するだけの事由があることを主張立証することが難しい傾向にあります。
→ 明確な理由はないけれど離婚したいという方はこちらをご覧ください
熟年離婚を検討するにあたっては、なぜ離婚をしたいのかをよく考えて整理し、その理由となった事実を証明できる証拠はあるのか、どんな方法で証拠を集められそうかをよく考え、弁護士への法律相談などに備えましょう。
2)別居期間中や離婚後の住居、生計維持の方法を考えましょう
熟年離婚を検討される方の中には、長く専業主婦をなさっている方が多くいらっしゃいます。別居期間中や離婚後のお住まいはどうするのか、どのように生活費を賄うのかについて、よく考えておく必要があります。
① 別居期間中や離婚後の住まいについて
別居期間中や離婚後の住居をどうするのかを考えておきましょう。身を寄せるお身内の方はいるのか、賃貸住宅を借りることはできそうか、賃料はいくらか。また、持ち家がある方は、持ち家に住み続けることを希望するのかを、財産分与との関係でよく考える必要があります。
② 別居期間中の生活費について
離婚に先立ち別居をする場合には、その期間の生活費をどうするのかを考えなければなりません。まずは就職について検討・準備し、ご自身がどのくらいの収入を得られそうか確認しましょう。また、配偶者に収入があるという場合には、離婚が成立するまでの間、配偶者に生活費の支払いを求める「婚姻費用分担請求」をすることも考えられます。
③ 離婚後の生活費について
離婚後の生活費を確保するためにも、まずは就職について検討・準備し、ご自身がどのくらいの収入を得られそうか確認しましょう。
また、熟年離婚においては、先にご説明したとおり、財産分与が多額になる傾向にあります。「財産分与」や「慰謝料」など、離婚時に受け取れる可能性がある金銭や不動産などの財産がどのくらいあるのかを把握することは、離婚後の生活を考える上で非常に重要です。
→ 財産分与についてはこちらもご覧ください
→ 慰謝料についてはこちらをご覧ください
さらに、リタイア後の生活を維持ずるために、年金分割についても知っておきましょう。年金分割の制度は、離婚した後に、一方の配偶者の厚生年金保険の納付記録の一部を分割して、他方の配偶者の年金記録に加算するというもので、離婚が成立した日の翌日から2年以内に請求する必要があります。
3)婚姻中に築いた財産をリストアップする
熟年離婚は、婚姻期間が長いことに伴い、財産分与が多額になる傾向にあることが特徴的です。
財産分与とは、婚姻期間中に築いた夫婦の財産を清算するもので、原則として2分の1ずつに分けることになります。その対象には不動産、預貯金、生命保険、退職金、株式、企業年金、負債などが含まれます。
熟年離婚の場合には、長い婚姻生活の中で様々な財産を形成し、またローンなどの借り入れをしているケースが多いので、この財産のリストアップをする作業が煩雑になりがちです。しかし、離婚時に受け取る財産分与の適正な金額を大まかに把握することは、離婚時の条件を決めるために非常に重要です。また、家庭裁判所の手続きで離婚を求める際にも、必須の準備事項になります(リストアップのコツについては次項をご覧ください)。
ただし、配偶者が個人事業主や経営者である場合など、夫婦の財産がわからない方もいらっしゃると思います。夫婦の財産がわからなくて不安な方は、お早めにご相談ください。
4)老後の心身の不調や老い支度についても備えておく
熟年離婚においては、離婚後ひとりになった後のご自身の心身の健康や老い支度についても、心配される方がたくさんいらっしゃいます。離婚して自分ひとりになるのはいいけれど、子どもたちには迷惑をかけたくない、そんな思いを抱かれる方もいらっしゃると思います。
ご自身の心身の故障により判断能力等が低下してしまう場合に備えて、①成年後見制度と任意後見契約、②家族信託について知っておきましょう。
① 成年後見制度とは
成年後見制度とは、精神上の障害(知的障害、精神障害、認知症等)により判断能力が十分でない方が、社会生活で不利益を被らないように、その方の代わりに契約をしたり、援助したりする人(成年後見人)を家庭裁判所に選任してもらう制度です。成年後見制度には、さらに法定後見制度と任意後見制度とがあります。
法定後見制度では、法律により、ご本人の判断能力に応じて「後見」「保佐」「補助」と区分が定められており、それぞれ支援の内容も決まっています。家庭裁判所に申立てを行い、要件を満たす場合には手続きの開始が決定され、裁判所がご本人のために後見人等を選任します。
これに対して任意後見制度は、ご本人に十分な判断力もあり、現時点ではお元気であるものの、将来、判断能力が低下したときに備えて、将来の成年後見人となる人(任意後見人)と契約(任意後見契約)を結んでおく制度です。
② 家族信託とは
家族信託とは、ご自分の財産を、信頼できる家族等(受託者)に託し、特定の人(受益者;ご自身等)のために、あらかじめ定めた信託目的に従って、管理・処分・承継する財産管理手法です。
判断能力の低下等に備えて、任意後見や家族信託等、どのような方法がよいかはそれぞれのご事情によって異なります。ぜひ一度、弁護士細江智洋までご相談ください。
財産分与の対象となる典型的な財産について(リストアップのコツ)
現金・預貯金 | 婚姻期間が長期にわたるため、口座の数が増え、その金額も高額になっている可能性があります。 「どの金融機関」に「どちらの名義」で口座を作成したのか整理し、一覧表を作成してみるのが良いでしょう。 |
---|---|
生命保険 | いわゆる解約返戻金があるタイプの積立保険が財産分与の対象となります。 婚姻期間・積立期間が長ければ長い程、財産分与の対象となる解約返戻金が高額になっている可能性があります。 こちらも、保険証券を整理し、一覧表を作成してみるのが良いでしょう。 |
不動産 | まず、住宅ローンまたはこれに準ずる借入金が残っているか確認しましょう。 住宅ローン等が残っている場合、次は別居時や離婚時にどの程度のローンが残っているかについても確認しましょう。 不動産の現在価値については様々な方法で算出することになりますが、まずは固定資産評価証明書を取得し、併せて不動産会社2~3社に簡単な査定をしてもらいましょう(それ程費用が掛かるものではなく、不動産会社によっては無料で対応してもらえます)。 |
退職金 | 退職金がすでに支払われている場合、支払済みの金額の総額を確認しましょう。 まだ退職金が支払われていない場合は、仮に現時点(既に別居している場合は別居時点)で退職したら退職金がいくら支払われるか職場に確認しましょう。 結婚前からその会社に勤めていた場合は、結婚時に退職していたら退職金がいくらだったかについても確認しておきましょう。 |
自動車 | 夫婦で使用している自動車があれば、こちらも財産分与の対象となります。 不動産と同様、ローンが残っている場合は残ローンの金額を確認し、自動車の現在価値については2~3社に見積をしてもらいましょう。 |
その他 | 代表的な財産分与の対象となる夫婦共有財産は既に記載したとおりですが、その他にも株式(上場、非上場を問いません。)、ゴルフ会員権などが財産分与の対象となる場合があります。 いずれにしても、ポイントとなるのは、結婚してから夫婦で協力して築きあげた財産に当たるかがポイントになります。 |
熟年離婚について弁護士に相談すべき理由
ここまでご説明したとおり、熟年離婚は裁判で離婚原因を主張・立証するのが難しく、また、財産分与が高額になる傾向があり、ご自身で適切な離婚条件について判断して相手と交渉することは困難なケースが多くあります。したがって、熟年離婚で後悔しないためには、法律の専門家である弁護士に相談したほうがよい場合が多くあります。
ここでは、1)熟年離婚について弁護士に相談すべき3つの理由と、弁護士に相談すべきケースかをチェックする2)熟年離婚チェックシートを記載します。
1)熟年離婚について弁護士に相談すべき3つの理由
① 相手が離婚に応じないケースが多く、相手の不倫やDVなどの明確な離婚原因がないときに裁判で離婚原因を主張・立証するには法律の専門知識が必要です。
② 長い婚姻生活の中で築いた財産が多岐にわたり、その価額の評価も複雑になることが多いので、ご自身で財産分与の交渉をするのは、大変で難しい作業です。また、弁護士の有無で結果が大きく変わりかねません。
② 熟年離婚は、単に離婚が成立すればよいというものではなく、離婚後の生活や老後についても方針や計画を立てる必要があり、弁護士はそのサポートをすることができます。
2)熟年離婚チェックシート
以下のいずれかに該当する方は、一度ご相談されることをお勧めします。
• 相手に不倫やDVなどのわかりやすい原因はなく、相手が離婚に応じない。
• 相手が個人事業主であるなどの理由で、どんな財産がどのくらいあるのはわからない。
• 不動産や株式など、価額がわかりにくい夫婦の財産がたくさんある。
• 相手が退職間近で退職金が支払わられる見込みが高い、または既に支払われた。
• 離婚はしたいが離婚後の生活や老後が心配で決心できない。
弁護士細江智洋からのメッセージ
熟年離婚について悩んでいる方は、長い婚姻生活の中で、家族を優先して自分を押さえ、辛い生活に耐えてきた方が多いと思います。
しかし、熟年離婚を望む方の多くは専業主婦であり、離婚後の経済状況のお子さんへの負担等を心配して、離婚に踏み出せずにいるのではないでしょうか。
弁護士細江智洋は、そのような不安や辛い気持ちに寄り添い、これからの人生を大切にするためのお手伝いをさせていただきたいと考えています。
まずは、30分間の無料法律相談で、今抱えている不安についてお知らせください。
この記事を担当した弁護士
みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩み方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。