相手方の職業別の対応方法
ここでは、不倫慰謝料請求の方針を決める上で重要な、相手の「職業別」の特徴と対応方法についてご説明します。
公務員
公務員といっても多様な職種があり、官僚、教員、警察官、自衛隊員など様々です。
それら公務員に共通するのが、比較的給与水準が高く、地位が安定している点です。つまり公務員は、離職率が低くて解雇もされにくく、給与が安定して支払われています。
交渉や裁判で慰謝料請求が奏功し金額が決まっても、相手が決められたとおりの金額を支払ってくれるとは限りません。相手が公務員の場合には、国や自治体から給与が支払われているので、給与を差し押さえることによる強制執行がしやすく、支払いを確保しやすいのが特徴的です。
また、不倫でトラブルになっていることを職場や周囲に知られたくない人が多いので、裁判になる前に紛争を終わらせることを望み、弁護士から通知が来たら交渉に応じる傾向が高いです。
したがって、相手が公務員の場合、弁護士をつけることにより、早く確実に不倫慰謝料の支払いを受けられる可能性が高くあります。
会社員
会社員は、勤め先や業種によって様々であり、収入にも幅があります。
大企業に長年勤めている方であれば、公務員と同様、給与への強制執行により慰謝料の支払いを確保しやすく、早期の解決も期待できます。他方で、勤続年数が少なく頻繁に転職を繰り返す方だと、給与を差し押さえることが困難であり、交渉段階での解決もそこまで期待できません。また、勤務先が小さな会社だと、給与の差押え後の処理をスムーズにしてくれるか不安があります。
請求したい相手が会社員の場合には、勤務先や収入などによってとるべき対応も変わりますから、早めにご相談ください。
医師
医師の方は、一般的に収入が高くて忙しい方が多いので、紛争を早期に終わらせることを強く望む傾向があります。また、不倫でトラブルになっていることを職場や周囲の人に知られたくないと考える方も多い印象です。
したがって、早期に紛争を終わらせ裁判を避けるために、交渉の段階でまとまった金額を用意することが多く、弁護士による交渉が奏功することを期待できます。
経営者・個人事業主
経営者・個人事業主の方も、その事業規模や経営の態様は様々であり、一括りにできるものではありませんが、特徴的なのは給与の支払いを受けていない点です。自分が経営する会社から役員報酬の支払いを受けている方もいますが、役員報酬を差し押さえても、その会社の経営者が相手方本人なので、差押えた金額の支払いがスムーズになされるとは限りません。そのため、公務員や大企業に勤める会社員に比べて強制執行が困難な傾向にあります。
したがって、裁判に時間をかけても強制執行が難航する可能性が高いので、早期に弁護士に依頼して交渉に重点を置き、交渉段階で支払いを確保するほうがよいケースが多くあります。
水商売
配偶者の不倫相手が水商売の方だったというケースは少なくありません。しかし、水商売をしている方は店の移転が比較的容易であり、強制執行は難しい傾向にあります。
また、異性への接客を前提とする業種のため、勤務先にトラブルのことを知られないようにする傾向も少なく、仕事の一環であった等と言って不倫の事実を否定することもあり、早期の解決が難しい印象です。
相手が水商売の方の場合、交渉の仕方や支払い確保の方法が容易でない傾向にありますから、お早めにご相談ください。
専業主婦
専業主婦は、基本的に自分名義の収入がありませんから、慰謝料の金額が決まったところで、支払いを確保することが困難です。
他方で、専業主婦の方が自分の夫に不倫の事実を知られていない場合には、裁判を起こされる前に何とか慰謝料を支払って、紛争を終わらせたいと考える方もいます。
したがって、専業主婦を相手に慰謝料請求する場合には、交渉をどう進めるかがポイントになります。