遺言書作成のポイント
遺言とは、自らが築き、かつ守ってきた大切な財産を最も有効に活用してもらうために行う、遺言者の最終の意思表示です。
また同時に、遺産を適切な人に適切な割合で分配し、遺された相続人が争いなくスムーズに、そして何より気持ち良く相続手続きができる状態を作るための手段です。
遺言書の作成は、家族や親しかった人たちにご自身の最後の意思を伝え、遺産相続をめぐる争い(争族)を避ける為の最も効果的な方法なのです。
ここでは、遺言書を作成するためにおさえておくべき知識やポイントについてお伝えします。
遺言書を作るべき人
法定相続人以外の人(例えば、内縁の妻や同居している長男の嫁など)に遺産を遺したい場合は、遺言書にその旨を記載する必要があります。
また、法定相続人のうちの特定の人に多くの財産を与えたい場合や、遺産のほとんどが不動産の場合も遺言書で配分や分割の方法について、遺言者の意思を明確にしておく方が良いでしょう。
詳しくは 遺言を作るべき人 をご覧ください。
故人による遺言がない場合、原則として、法律で決められた割合(法定相続分)を基準に、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、具体的な分割方法や割合を決定していきます。
しかし、こうした当事者間の話し合いが必ずしも順調に進んでいくという保証はなく、それまで仲の良かった親族が相続をきっかけに不仲になるという話は少なくありません。
よって、親族間で揉めることが少しでも心配でしたら、遺言書を作成することを強くおすすめします。
遺言の種類と特徴
遺言は、民法に定める方式に従って行なわなければなりません。
遺言の種類は大きく分けると、普通方式と特別方式の二つに分かれ、一般的には、普通方式によっておこなわれます。
普通方式の遺言には、自筆証書遺言書、公正証書遺言書、秘密証書遺言書の3種類があります。
それぞれの特徴を考慮し、ご自身にとって最善の方法を選択してください。
詳しくは 遺言の種類と特徴 をご覧ください。
遺言書作成前の準備
事前に次のことを調査しておきましょう
⑴ 法定相続人と法定相続分の確認
遺言の内容は基本的に自由ですが、安易な分配指定の結果、遺言書がトラブルの原因になっては意味がありません。
法定相続人や法定相続分などの法律上の規定を考慮したうえで、遺言者の意思を明確にすることで相続時の争いを避けることができます。
詳しくは 法定相続人と法定相続分 をご覧ください。
⑵ 遺留分の確認
民法では、兄弟姉妹以外の法定相続人が遺産の一定割合を受け取ることを保証する「遺留分(いりゅうぶん)」という制度が規定されています。これは、法律で認められた最低限の相続取り分です。
遺留分を侵害する遺言も、その全体が無効になるという訳ではありませんが、侵害された相続人は遺留分減殺請求をすることができます。
遺留分を侵害する遺言は争いの元になることがあるので、注意が必要です。
詳しくは 遺留分とは をご覧ください。
⑶ 相続財産の確認
遺言書の作成には正確さが重要です。
記載内容に誤りがあると、その部分が無効になったり、相続手続きに支障を来す可能性があります。
遺言に記載されていない財産は相続人全員で分割協議をすることになります。このようになってしまっては、トラブルを避け、相続をスムーズに進めるという遺言の目的を実現できないことになってしまいます。
相続財産をもれなく確認することは、遺言書を作成する上で非常に重要な準備です。
詳しくは 遺言作成時の財産調査 をご覧ください。
遺言書の書き方
遺言は、それぞれ遺言の種類によって法律で厳格に書き方が定められています。
せっかく作成した遺言書も、書式や記録方式に不備があるために、無効になることがあります。
詳しくは 遺言書の書き方 をご覧ください。