配偶者の不倫でお悩みの方の離婚相談
こんなお悩みはございませんか?
- 配偶者に不倫され、深い悲しみや怒りで苦しんでいます。
- 配偶者が不倫している様子だけれど、どうしたらよいかわかりません。
- 配偶者やその不倫相手を許せないので、訴えたいです。どうすればよいですか?
- もう離婚したいけれど、まだ子どもが小さく、経済的にも不安で決断できません。
- 配偶者やその不倫相手に慰謝料を請求して、早く離婚もしたいけれど、何をすればいいですか?
- 不倫した夫から離婚を求められていますが、私は離婚したくありません。
はじめに
配偶者の不倫で悩んでいらっしゃる方へ
今、本当に辛い思いをされていることと思います。
悲しみや怒り、失望から「今すぐ離婚したい」と考える方も多いでしょう。
しかし、まずは一度立ち止まり、一緒に状況を整理しましょう。
今、あなたは、今後の離婚交渉において、とても有利な立場にあります。
なぜなら、不倫をした配偶者からの離婚請求が裁判で認められることはとても難しく、相手が短期間で離婚をするためには、相手はあなたに対して、離婚に関するさまざまな条件で譲歩しなければならないからです。
つまり、離婚をするかどうかの主導権はあなたにありますし、相手が離婚を望んでいる場合、あなたの希望に沿った条件で離婚できる可能性が高いです。
さらに、不倫をした配偶者が早期に離婚を望む場合、交渉次第では、裁判ではなかなか認められないような慰謝料を得られる可能性もあります。
もちろん、あなたが受けた精神的な苦痛はお金で回復できるものではありません。
しかし、今後のあなたの幸せな生活のために、離婚するかどうかを冷静に決め、離婚する場合には受け取れるものはきっちり受け取り、お子さんの養育のための条件もきちんと整えて、良い再スタートを切りましょう。
目次
不貞行為(不倫)とは
不貞行為(不倫)とは、配偶者のある者が自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいいます。
いわゆる買春のような場合であっても、配偶者以外の者と性的関係を持った以上、不貞行為にあたります。
そして、この「不貞行為」は、民法770条1項に定める法定離婚事由ですから、基本的には裁判で離婚が認められます。
配偶者の不貞行為を原因とする離婚手続
離婚の手続きは大きく3つに分けられます。
まずは、配偶者の不倫が原因で離婚をする場合の手続きについて確認しましょう。
協議離婚 | 裁判所の手続きによらずに、夫婦の話し合いや交渉で離婚条件を決め、双方の合意で離婚します。離婚届を自治体に提出して手続きします。 話し合って決めた離婚条件は書面に残しましょう。相手が条件に従った支払いをしない場合に備えて、強制執行認諾条項付き公正証書を作成しておくと安心です。 |
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調停離婚 | 協議離婚が難しい場合、配偶者を相手方として、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。 調停期日には、裁判所の調停室という部屋で、調停委員が当事者双方(離婚調停においては夫と妻)から交互に事情や意向を聞き、合意に向けて調整していきます。調停期日は多くの場合、1~2か月に1回ほどの頻度で行われます。 調停で離婚が成立したら、調停調書謄本等を各自治体の役所に持参して、離婚の手続きを行います。 |
裁判離婚 | 調停でも離婚の合意に至らなかった場合、配偶者を被告として、家庭裁判所で離婚訴訟を提起することになります。裁判で離婚が認められるためには(判決離婚)、民法770条1項に定める法定離婚事由があることが必要です。配偶者が不貞行為をしたことは、この離婚事由にあたります。 離婚が判決で認められ確定したら、判決書謄本等を各自治体の役所に提出して離婚の手続きを行います。 なお、判決離婚のほかに、離婚裁判中に裁判所の手続きで和解(訴訟上の和解)をする和解離婚や、離婚裁判中に被告が離婚請求を認諾する認諾離婚というものもあります。 |
これらの手続きは、法律上、弁護士に依頼せずご自身で進めることもできます。
しかし、冒頭でお話ししたとおり、配偶者の不倫を原因として離婚を求める方は、離婚の交渉において有利な立場にあります。そして、その有利性を十分に発揮し、よりよい条件を引き出すためには、高度な専門知識と経験を持つ弁護士の交渉力が不可欠です。
不倫をした配偶者から離婚を求められたら
不倫をした配偶者がさらに離婚をしたいと言ってきても、あなたが離婚に応じる必要はありません。これからご説明するように、離婚するかどうかの主導権は、基本的にあなたにあります。
ここでは、不倫をした配偶者が離婚をしたいと言ってきた場合の対応について、以下の3項目に分けてご説明します。
(1)離婚協議や調停段階での対応
(2)有責配偶者からの離婚請求
(3)不倫した配偶者が家を出てしまった場合
(1)離婚協議や調停段階での対応
離婚の手続きは、「配偶者の不貞行為を原因とする離婚手続き」でご説明したとおり、大きく①協議離婚、②調停離婚、③裁判離婚(判決離婚)に分かれます。このうちの協議離婚と調停離婚は夫婦双方が離婚に合意したときに成立しますから、あなたが離婚を望まない場合や条件に納得できないときは、離婚に応じなくてよいです。
問題は、不倫をした配偶者が裁判で離婚を求めたときに、それが認められるかどうかです。
(2)有責配偶者からの離婚請求
判例は、有責配偶者(不倫をした配偶者)からの離婚請求は、信義誠実の原則に反して許されないとしつつ、①別居期間が当事者の年齢及び同居期間と対比して相当の長期間であること、②夫婦間に未成熟子がいないこと、③相手方配偶者が離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状況におかれる等、離婚請求を容認することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情のないことの3要件を満たす場合には、信義誠実の原則に反しないとしています(最高裁昭和62年9月2日判決)。
つまり、長期間別居しているご夫婦に養育が必要なお子さんがいない場合で、不倫されてしまった配偶者が離婚によって過酷な状況におかれることはないというような例外的な場合を除いては、不倫をした配偶者からの離婚請求は認められないということです。
(3)不倫した配偶者が家を出てしまった場合
不倫をした配偶者が離婚を望んで、家を出てしまうこともあると思います。
別居期間が長くなることは、有責配偶者からの離婚請求が認められるプラスの要因になります。しかし、別居を始めたからといって、すぐに裁判で離婚が認められるというわけではありません。
他方で、別居をしていても夫婦は互いに扶助義務を負っていますから、婚姻費用分担請求について検討しましょう。
配偶者が不倫したときに後悔しないための離婚準備
配偶者の不倫が原因で離婚を検討している方は、離婚に向けてどのような準備をすればよいでしょうか。
ここでは、以下の7項目に分けてご説明します。
(1)証拠の確保
(2)離婚するかどうかの検討
(3)離婚後の生活についての計画
(4)お子さんの親権と面会交流について
(5)養育費について
(6)財産分与について
(7) 年金分割について
(1)証拠の確保
まずは、不倫の証拠を確保しましょう。
配偶者が不倫していたとしても、証拠がなければ裁判では認められません。そして、裁判で認められないということは、交渉でも優位性を保つことが難しくなってしまいます。
相手も不倫の証拠を残さないような工夫をしているはずです。
写真、メール・LINE、手紙、本人及び不倫相手の自白(録音)など、不倫の証拠を確実に保全するようにしてください。
(2)離婚するかどうかの検討
次に、本当に離婚するどうかについて、じっくり検討しましょう。
配偶者の不倫に気づいてしまうと、怒りや悲しみ、ショックで動揺してしまうことと思います。
しかし、そのまま勢いで離婚してしまうと、本当にそれでよかったのか、離婚条件は納得できるものだったのか、夫婦関係を再建する道はなかったのか等、あとで後悔することになりかねません。
ひとまず不倫の証拠を確保したら、次に、離婚するのがご自身にとって最善の方法なのか、以下でご説明する養育費や財産分与、慰謝料などの条件を参考にしながらじっくり検討しましょう。
ひとりで判断するのが難しいという方は、30分の無料相談でお話を聞かせてください。]
(3)離婚後の生活についての計画
離婚後の住まいや生活費をどうするのかについては、慎重に考える必要があります。
特に、専業主婦の方が離婚をする場合には、経済面で不安を抱かれると思います。
・別居について
別居後の住まいについて計画を立てましょう。ご実家等に身を寄せることができるのか、賃貸にするのか、その場合の家賃はどのくらいになるのかを、生計を維持するための固定費として検討しましょう。また、持ち家がある方は、持ち家に住み続けることを希望するのか、財産分与との関係で考えておきましょう(財産分与については、「(6)財産分与について」でご説明します)。
・生活費について
特に専業主婦(主夫)の方は、就職について準備を始める必要があります。また、未成年のお子さんがいる場合には、養育費についての知識が必要です。また、離婚後の生計維持のために、財産分与や慰謝料等、離婚時に受け取れる金銭にはどんなものがあるか確認し、老後に備えて年金分割制度についても知っておく必要があります。
さらに、離婚成立前に別居する場合には、配偶者に対して生活費の支払いを求める婚姻費用分担請求というものがあります。
以下でご説明します。
→ 婚姻費用分担についてはこちらをご覧ください
→ 専業主婦の方の離婚相談についてはこちらをご覧ください
(4)お子さんの親権と面会交流について
未成年のお子さんがいる場合には、親権と面会交流について知識を得て、検討しておく必要があります。
・親権について
親権とは、未成年のお子さんが一人前の社会人になれるように監護・養育し、その財産を管理する権利及び義務をいいます。現在の法制度のもとでは、離婚時に父母のどちらが親権者になるかを決めなければならず(単独親権)、離婚に関する多くの事案でこの親権を巡って争いが激しくなる傾向にあります。
裁判所の手続きで親権者を決める場合には、それまでの主たる監護者がどちらだったか(主にお世話等していたのはどちらだったか)等が考慮されます。相手が不倫をしていたからと言って、そのことのみで親権について相手が不利になるというわけではないので注意が必要です。
これまでのお子さんの監護状況(お子さんのお世話や養育を誰がどのようにしていたか)やお子さんとの関係を整理し、まとめておきましょう。
・面会交流について
面会交流とは、別居中または離婚後に、親権者または監護者でない方の親が子どもと直接会う等の方法で交流を持つことをいいます。特段の事情がない限り、離婚や別居により離れて暮らす親とも交流を持つことが、子どもの健やかな成長のためになるという考えに基づいています。相手が不倫をしたからといって、それだけで面会交流を拒否できるわけではありません。
お子さんの親権を望む場合にも、配偶者とお子さんの面会交流について、どのような条件を望むのか考えをまとめておきましょう。
→ 親権についてはこちらをご覧ください
→ 面会交流についてはこちらをご覧ください
(5)養育費について
養育費とは、未成年のお子さんの養育に必要な費用をいい、お子さんの生活費や学費、医療費などがこれに含まれます。お子さんを引き取り監護する親が、監護しない方の親に対して支払いを請求します。
この養育費の額については、当事者間の協議で決めることができますが、話し合いがつかない場合には、状況に応じて家庭裁判所の調停、審判、訴訟で決めることになります。
裁判所の手続きで養育費の額を決める場合には算定表が用いられますが、住宅についての特別な事情やお子さんの私学の学費、習い事の月謝などの事情が考慮され、修正されることがあります。
(6)財産分与について
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が築いた財産を離婚時に分ける制度であり、2分の1ずつに分けることが原則です。財産分与の対象になるのは、預貯金、株式、車や生命保険などです。持ち家もこの財産分与の対象となります。
専業主婦で婚姻中にお仕事をされていなかった方でも、2分の1の財産分与を得ることが原則です。
理論上、相手が不倫をしたことを理由に財産分与の額が増えるというものではありません。
婚姻期間中にご夫婦で築いた財産にどのようなものがあるか、そしてその価額はどのくらいかをリストアップしましょう。
(7) 年金分割について
年金分割とは、夫婦が婚姻期間中に納めた厚生年金を離婚時に分割し、それぞれに分け合うことをいいます。
特に長期間専業主婦をされていた方は、将来の年金額が大きく変わるので、この年金分割についてもよく確認しておきましょう。
また、離婚すれば自動的に年金分割されるというわけではないので、注意が必要です。年金分割の請求は、原則として離婚した日の翌日から2年以内に行う必要があります。
なお、年金分割の対象となるのは厚生年金のみであり、国民年金は分割の対象ではありません。企業年金については、年金分割の対象ではなく、財産分与の対象となります。
不倫慰謝料請求について
配偶者の不倫というと、まずこの不倫慰謝料を思い浮かべる方が多くいらっしゃると思います。
ここでは、以下の4項目に分けてご説明します。
(1) 不倫慰謝料とは
(2) 不倫慰謝料の相場
(3) 離婚しない場合の不倫慰謝料
(4) 不倫慰謝料の請求方法
(1)不倫慰謝料とは
配偶者の不貞行為(不倫)を原因として離婚する場合、その不貞行為をした配偶者を「有責配偶者」といい、離婚に至る原因を作り出した配偶者として、他方の配偶者に対し、離婚により生じた精神的苦痛についての慰謝料を支払うべき義務を負います。
つまり、配偶者の不倫が原因で離婚する場合には、原則として相手に慰謝料を請求できます。
(2)不倫慰謝料の相場
不倫を原因として離婚する場合の慰謝料の額は、婚姻期間や不倫の内容などによって異なりますが、150万円から300万円ほどであることが多く、500万円を超えるケースはなかなかありません。
不倫慰謝料は、配偶者だけでなく配偶者の不倫相手にも請求できますが、不真正連帯債務といって、どちらか一方から妥当な額の支払いを受ければ、相手はそれを理由に支払いを拒み得るので、得られる額が2倍になるわけではありません。
(3)離婚しない場合の不倫慰謝料
離婚せず婚姻生活を続ける決断をした場合でも、配偶者やその不倫相手に不倫慰謝料を請求することができます。ただし、離婚しない場合の慰謝料には、離婚による精神的苦痛の分が含まれないので、金額はどうしても低くなってしまいます。また、結婚生活を続けると決めた場合に慰謝料請求することは、配偶者との関係を悪化させかねないので、請求するかどうかは慎重に検討しましょう。
(4)不倫慰謝料の請求方法
不倫慰謝料の請求は、協議離婚における交渉や家庭裁判所での調停、離婚裁判で請求する場合や、離婚手続きとは別に地方裁判所で訴訟により請求する場合があります。
配偶者が不倫したときに弁護士に相談するべき理由
ここまでお話したとおり、配偶者に不倫をされた方は、離婚交渉において有利な立場にあります。
しかし、この有利性を十分に発揮してより良い条件を引き出すには、専門的な知識や経験が不可欠です。また、配偶者の不倫を知ったことで精神的につらい状況下で、冷静に手続きを進めることは非常に難しいことでしょう。
離婚や慰謝料の交渉段階で、ご自身で相手と直接やり取りをすることは、精神的に大きな負担になります。また、裁判所の手続きで離婚や慰謝料を請求する際にも、裁判所は公正・中立な立場の国家機関ですから、あなたの立場に立った法的なアドバイスはしてくれません。
弁護士は、あなたの立場に寄り添い、あなたのために交渉や手続きを進める法律の専門家です。
配偶者の不倫で悩んでいる方には、弁護士への相談をお勧めします。
弁護士細江智洋からのメッセージ
配偶者の不倫を知って、今はとても辛いお気持ちだと思います。
ひとまずは不倫の証拠を確保したら、離婚するかどうかを含めて、今後の生活について考えてみましょう。
そして、離婚を決心した場合、不倫の証拠をしっかり保全しておく一方で、別居して婚姻費用の請求をしましょう。不倫した配偶者が離婚の申し出をしてきたら、その時が最も良い条件で離婚ができるタイミングです。
弁護士細江智洋は、不倫を原因とする離婚事案や離婚の際の慰謝料請求、不倫相手に対する慰謝料請求など、これまで多くの案件を担当し、解決に導いてまいりました。
配偶者の不倫を知って離婚について悩んでいる方や離婚すると決めた方は、ひとりで抱え込まず、ぜひ一度ご相談ください。