離婚には同意しているが条件が整わない方の離婚相談
はじめに
離婚に際して決めなければならない条件は、財産分与やお子さんの親権、養育費、面会交流など多岐にわたります。そのため、離婚すること自体には双方が合意していても、条件面で折り合いがつかず、離婚の話し合いが進まないということはよくあります。
どうしても譲れない条件について意見が対立し、折り合いがつかない場合、最終的には裁判で決着をつけることになります。
ここでは、離婚に際して決めなければならない主要な事項と、離婚の条件について折り合いがつかない場合の考え方についてご説明いたします。
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目次
離婚時に決めるべき主要な事項について
親権 | 親権とは、未成年の子どもを、一人前の社会人になれるように監護養育し、その財産を管理する権利及び義務をいいます。婚姻中は父母の共同親権ですが、離婚後は父または母のどちらか一方を親権者にする単独親権の制度が採用されています。 したがって、離婚時には必ず親権者をどちらにするのか決めなければいけません。ただし、離婚後に事情が変わったときは、親権者を変更することができ、親権者の変更について折り合いがつかなければ、家庭裁判所に親権者変更の調停・審判を申し立てることができます。 |
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面会交流 | 面会交流とは、別居中又は離婚後によって別々に生活することになった親子が、面会等の方法により交流することです。別居中であっても、親子が交流を持つことが子の健全な成長に資するという考え方に基づいています。 面会交流の条件は、離婚時に必ず決めなければならないものではありません。面会交流について父母の意見が合わないときは、離婚後に調停・審判を申し立てて面会交流を求めることもできます。 |
養育費 | 養育費は、子どもの監護・養育費に必要な費用全般を指し、衣食住にかかる費用や教育費、医療費などが含まれます。 養育費について何らの取り決めもしていない場合でも、離婚後に請求することができます。金額や支払い時期などの条件に折り合いがつかない場合には、家庭裁判所に調停、審判を申し立てることができます。また、一度養育費の金額を決めた後に父母の経済的事情が変わった場合には、養育費の増減を求める調停・審判を申し立てることもできます。 |
財産分与 | 財産分与とは婚姻期間中に夫婦が築いた財産を離婚時に分ける制度であり、2分の1ずつに分けることが原則です。財産の名義が夫婦の一方になっていても、婚姻中に築いた財産であれば、基本的には財産分与の対象になります。 離婚時に財産分与について何らの取り決めもしていない場合でも、離婚後2年以内であれば請求することができます。財産分与の条件で折り合いがつかない場合には、家庭裁判所に調停・審判の申立てをすることができます。 |
慰謝料 | 離婚に至った原因が、一方の不倫など配偶者の有責な行為にある場合には、その配偶者は慰謝料の支払義務を負います。離婚協議の際に慰謝料についての取り決めもすることが多いのですが、離婚後に請求することもできます。 |
年金分割 | 年金分割とは、離婚した後に、一方の配偶者の年金の納付記録の一部を分割して、他方の配偶者の年金記録に加算するというものです。 実務上、年金分割は50%ずつに分けることがほとんどなので、あまり争いになることはありません。離婚時に取り決めをしなかった場合でも、離婚から2年以内に請求することができます。 |
離婚条件で対立してしまった場合の考え方
離婚条件で折り合いがつかない場合には、「離婚裁判になった場合にどうなるか」を想定して、交渉や裁判所での手続きの方針を決めます。
(1)双方の言い分を整理する
まずは、折り合いがつかない離婚条件について、双方がどのような主張をしているのか、あなたの譲れないポイントは何かという点を整理します。
(2)離婚したい理由について整理する
次に、裁判で離婚そのものが認められるかを判断するために、あなたが離婚したいと考えるに至った理由についてもよく整理します。
夫婦が合意の上で離婚する場合には、離婚したい理由は基本的にあまり問題になりませんが、裁判で離婚を求めるとなると、裁判で認められるだけの「離婚事由」があるかが問題になります。
離婚が認められやすい典型例は相手に不貞行為やDV等の有責な行為がある場合です。単に性格が合わないという理由の場合には、離婚が認められる可能性が低くなってしまいます。ただし、離婚が認められやすい典型的な離婚事由がない場合にも、一定の別居期間を経ることにより、離婚が認められる場合があります。
交渉が決裂した場合に、裁判になっても離婚そのものがすぐには認められない可能性が高いのであれば、あまり急がず、時間を置いた方がいいかもしれません。
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(3)離婚裁判であなたが希望する条件が認められるか検討する
次に、離婚条件について、夫婦の対立する主張のうち、想定される裁判所の判断から大きく離れているのはどちらかを考えます。
あなたの希望のほうが裁判所の基準と大きく乖離している場合には、裁判で争っても主張がみとめられにくい状況です。他方、あなたの希望する条件が想定される裁判所の判断に近いものであり、相手側の主張の方が裁判所の判断基準から大きく外れたものである場合には、裁判になったときにごあなたの主張が認められる可能性が高いので、離婚を求めて迅速に手続きを進めていくことにメリットがあります。
離婚条件がまとまらない場合は弁護士にご相談ください
(1)離婚問題は話し合いで解決するのが望ましい
夫婦が全面的に対立し、判決で離婚問題に決着をつけることになると、双方の合意による解決と比べて紛争の期間が長くなる上、ご自身にとっての譲れない離婚条件について、必ずしも希望通りの判断が下されるとは限りません。また、お子さんがいる夫婦の場合、離婚後にもお子さんの面会交流や養育費に関するやり取りが必要になるので、離婚後に関係を完全に断ち切るのは困難ですから、離婚時に徹底的に対立する姿勢は望ましいとはいえません。
したがって、離婚問題については、冷静に話し合い、譲れない条件と譲歩できる条件を整理し、互譲のもとで離婚条件を決めることが望ましいです。
(2)話し合いが難しい場合は弁護士にご相談ください
そうはいっても、離婚の問題に直面した夫婦が冷静に話し合うことは非常に難しいことです。離婚を決心するまでに、非常につらい思いをなさった方がほとんどであり、今さら相手とコミュニケーションとるなど無理という方も多いことと思います。また、双方の対立する主張について、どちらが裁判実務からすると妥当なものかは、専門家でなければ判断がつきにくいものです。相手に対し一方的に譲歩して離婚してしまい、あとになって後悔をするということは避けたいところです。
離婚するにあたって譲れない条件がある方や、相手が主張する条件に不信感があって折り合いがつかない方は、一度弁護士に相談なさることをお勧めします。
裁判所になった場合の見通しや相手の主張の妥当性について、専門家である弁護士のアドバイスを受け、互いに譲り合う余地はあるか、裁判まで視野にいれるかどうかを検討しましょう。
また、離婚条件について夫婦で直接やり取りをすると、どうしても感情的になってしいまい、冷静な話し合いは難しいものですが、専門家である弁護士が間に入ることにより、話し合いが進むこともあります。
弁護士細江智洋からのメッセージ
弁護士細江智洋は、離婚・男女問題を専門とする、これまでの相談実績が1500件以上の経験豊富な弁護士です。
おひとりで不安や悩みを抱えているご相談者様に、専門家との法律相談を通じて「ひとまずほっとしていただく」ことを第一に考えております。
ぜひ一度、ご相談ください。