離婚条件が合わない方へ 対応策を弁護士が解説

離婚したいけれど、条件が折り合わずお悩みではありませんか?

離婚を決めたものの、離婚条件で意見が対立し、話し合いが進まないということは珍しくありません。離婚に際して決めなければならないことは、財産分与やお子さんの親権、養育費、面会交流など多岐にわたります。
話し合いでは離婚条件が決まらない場合、最終的には裁判で決着をつけることになります。しかし、離婚の話し合いや手続きが長引くことは精神的にも大きな負担になってしまいます。

このページでは、離婚の条件が折り合わないときのポイントや対策について解説いたします。

目次

離婚時に決める典型的な「離婚条件」のご説明

親権

✓ 未成年の子どもがいる場合、親権者をどちらにするか決める必要があります。
✓ 離婚後は父母のどちらかが単独で親権を持つことになります。
✓ 親権で争いがある場合、家庭裁判所に調停・審判を申し立てることも可能です。
✓ 裁判所で親権者を決めるときは、次のような事項が考慮されます。
 ① 従前子どもの日常的な世話をしていたのは父母のどちらだったか
 ② 従前の監護状況からできるだけ変化なく監護できるか
 ③ (主に乳幼児の場合)母性的な役割を果たしていたのはどちらか
 ④ 子の意思(10歳くらいから考慮されることが多い)
 ⑤ 兄弟姉妹を分離せずに監護できるか
 ⑥ その他:面会交流への態度や監護能力、子どもの事情など

 

面会交流

✓ 別居中又は離婚後によって別々に生活することになった親子が、面会等の方法により交流することです。
✓ 離婚や別居後も、お子さんの健全な成長のために親子の交流を持つことが望ましいとされています。
✓ 面会交流の条件はできるだけ具体的に決めることが望ましいです。
✓ 話し合いで決まらない場合には、調停や審判が可能です。

養育費

✓ 子どもの監護・養育費に必要な費用全般のことです。衣食住にかかる費用教育費医療費などが含まれます。
✓ 金額や支払い時期について、具体的に決めることをお勧めします。
✓ 一度金額を決めた後でも、経済状況や家庭の事情の変化などにより、養育費の増額・減額を求めることができます。
✓ 話し合いで決まらない場合には、調停や審判の申立てができます。
✓ 金額を決める場合には、裁判所の養育費算定表が参考になります。

裁判所の算定表はこちら

財産分与

✓ 婚姻期間中に夫婦が築いた財産を離婚時に分ける制度です。
✓ 2分の1ずつに分けることが原則です。
✓ 夫婦どちらかの特殊な能力により高収入を得た場合など、例外的に2分の1ルールが修正されることがあります。
✓ どちらの名義かに関係なく、婚姻期間中に築いた財産が対象になります。
✓ 話し合いがまとまらなければ、審判や調停を申し立てることができます。
✓ 離婚から2年以内に請求する必要があります。

慰謝料

✓ 不倫など配偶者の有責な行為がある場合には原則として慰謝料請求が可能です。
✓ 離婚慰謝料の消滅時効は離婚から3年です。
✓ 相手の不貞行為(肉体関係がある不倫)で離婚する場合の相場は150万円~300万円ほどです。

年金分割

✓ 婚姻期間中に夫婦が築いた財産を離婚時に分ける制度です。
✓ 50%ずつに分けることがほとんどなので、争いになるケースは少ないです。
✓ 離婚から2年以内に請求する必要があります。

離婚条件で対立してしまった場合の解決方法

離婚条件で折り合いがつかない場合には、次の手順で「離婚裁判になった場合にどうなるか」を想定し、交渉での姿勢や裁判所での手続きの方針を決めます。

① 夫婦双方の言い分を整理する
② 離婚したい理由を整理する
③ 自分が希望する条件が裁判で認められるか検討する
④ 弁護士に相談し、適切な交渉を行う

① 双方の言い分を整理する

折り合いがつかない離婚条件について、夫婦双方がどのような主張をしているのかあなたの譲れないポイントあまりこだわらないポイントを整理します。

② 離婚したい理由を整理する

次に、あなたが離婚したいと考えるに至った理由についてもよく整理します。
「なぜ離婚したいのか」という離婚原因は、裁判を見据えたときの大切なポイントです。
裁判で離婚を求めるとなると、裁判で認められるだけの「離婚事由」があるかが問題になります。
離婚が認められやすい典型例は相手に不貞行為やDV等の有責な行為がある場合です。他方で、単に性格が合わないという理由の場合には、民法770条1項の「婚姻を継続し難い重大な事由」があるかが問題になり、主張・立証するのが難しいケースが多くなります(ただし、一定の別居期間を経ることで離婚が認められやすくなることがあります)。

仮にあなたが離婚を求めて裁判を提起した場合、離婚請求が認められる典型的なケースか、難しいケースかを理解しておきましょう。裁判で離婚が認められる可能性が高いのであれば、裁判も辞さない強気な姿勢で交渉に挑めるプラスの要素になります。
もっとも、裁判で「離婚」が認められても、希望する「条件」が認められない可能性もありますから、次の③についてよく検討する必要があります。

民法770条1項
夫婦の一方は,次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
① 配偶者に不貞な行為があったとき(いわゆる不倫)。
② 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

③ 自分が希望する条件が裁判で認められるか検討する

離婚条件について、夫婦のどちらの主張が、裁判所の判断により近いものかを想定します。
あなたが希望する条件が裁判所の基準と大きく乖離している場合には、裁判で争っても主張がみとめられにくい状況です。他方、あなたの希望する条件が想定される裁判所の判断に近いものであり、相手側の主張が裁判所の判断基準から大きく外れたものである場合には、あなたの主張が認められる可能性が高いので、あまり交渉に時間をかけたり相手に譲歩するよりも、離婚を求めて迅速に裁判手続きを進めていくことにメリットがあります。

④ 弁護士に相談し、適切な交渉を行う

離婚条件の交渉は、その後の裁判を見通したうえで戦略的に行う必要があり、単に「要求する」だけではありません。夫婦のどちらかに有責な事情があるのか裁判になったときの難易度はどうか、夫婦はそれぞれどのような条件をなぜ希望しているのかを考慮して、交渉への姿勢を決めます。

離婚は、夫婦の話し合いと合意によって行うのが望ましいのですが、常に「時間をかけて根気強く交渉する」ことが正解とは限りません。

離婚条件がまとまらない方は弁護士にご相談ください

弁護士に依頼するメリット

✓ 感情的にならず、冷静に交渉を進められる
✓ 夫婦間での話し合いや、やり取りをするための精神的負担を減らせる
✓ 裁判を想定した戦略的な交渉ができる

離婚を決めたご夫婦が冷静に話し合うことは、非常に難しいことです。離婚を決心するまでに、非常につらい思いをなさった方がほとんどであり、今さら相手とコミュニケーションとるのは無理という方も多くいらっしゃいます。
また、対立する夫婦の主張のうちどちらが離婚裁判で認められそうかは、専門家でなければ判断がつきにくいものです。しかし、一方的に相手に譲歩して離婚してしまい、あとになって後悔をするということは避けたいところです。

離婚するにあたって譲れない条件がある方や、相手が主張する条件に不信感があって折り合いがつかない方は、一度弁護士にご相談ください。

弁護士細江智洋からのメッセージ

弁護士細江智洋は、離婚・男女問題に精通したこれまでの相談実績が1500件以上の経験豊富な弁護士です。

おひとりで不安や悩みを抱えているご相談者様に、専門家との法律相談を通じて「ひとまずほっとしていただく」ことを第一に考えております。

ぜひ一度、ご相談ください。

この記事を担当した弁護士
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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋

神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩み方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

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