離婚をしたいけど、どのように切り出せばいいかわからない方へ
はじめに
「離婚したい」というお気持ちになっても、ご夫婦でのこれまでの生活やお子様がいらっしゃる場合など、いつ離婚を切り出そうか決められない方も多いのではないでしょうか。
また、別居はしたものの離婚を切り出しづらく、相手も何となくあなたのお気持ちを察して、離婚を切り出されまいと旅行に誘ったり、日常的にこまめに連絡が来たりして、なかなか「離婚したい」と相手に伝えられない、という方もいらっしゃいます。
さらには、パートナーによる不倫、暴力、モラハラがあったり、家事育児に協力してくれなかったり、酒癖が悪いなどの理由で、離婚を切り出したいけれども、相手が逆上して大喧嘩になるのではないか不安に思われることもあるかと思います。
何度言っても「これが最後だから」と言って、同じことを繰り返す相手も。何度も修復を試したけど、もう限界。いい加減に離婚したいのに、情もあってなかなか離婚を切り出せない・・・。子供のためにも、私が我慢すればいいのか・・・。
このように、様々なお悩みを抱えた方が多くいらっしゃいますが、当然のことです。これまで夫婦、家族を大事に思ってきたからこそ、今あなたは悩み、離婚を切り出すことに躊躇されていると思います。
わたしたちも、常にご夫婦、ご家族が円満に幸せな日々を過ごし、それぞれが人生を全うしていただくことを切に願って、日々サポートをしております。
しかしながら、夫婦を続けることでかえって個人の幸せを実現できないような場合があります。
そのような場合の結論は「離婚」なのですが、いざ離婚の切り出し方というのは非常に難しいと思います。
目次
離婚を切り出す前に確認しておくべきこと
離婚を切り出す前にまずはお気持ちを確かめてください。離婚を切り出せない方の多くは、本当に離婚していいのか悩んだり、親や知人・友人から、そのくらいは我慢しないと、など言われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、結婚はお二人のお気持ちで決めている方が多いと思います。離婚もまたお二人で決めることです。どんな理由であれ、もう婚姻生活を続けられない、続けたくないというお気持ちは正しいのです。
他方で、お気持ちが決まっているのになお離婚を切り出そうか悩む際に、相手に離婚したい理由が伝わりにくいことが原因になっている場合もあります。相手に伝えにくいということは、親や知人友人にも伝わりにくく「そのくらいは皆我慢してるのよ」などと言われてしまうかもしれません。このような場合には、なぜ相手とはこれ以上やっていけないのかを、十分に整理しておく必要があります。
また、不倫、暴力、モラハラ、その他相手に主に離婚原因があるという場合には、離婚を切り出す前にできる限り証拠を集めておくようにしましょう。証拠が集まった、あるいはこれ以上証拠を集めることができないという状態になれば、お気持ちさえ決まっていれば、離婚を切り出すタイミングとなります。
その他、離婚後の生活の不安、お子様の養育環境の変化や、離婚時の条件について不安を抱え、離婚したくでもどうすればいいのかわからないというお悩みもあると思います。
これから、離婚を切り出すタイミングと準備すべきことをお伝えします。
離婚を切り出すタイミングとは
離婚を切り出すタイミングといっても,①離婚時期(いつ離婚するか)という視点と、②どのような状況下で相手に伝えるべきかという視点があります。それぞれについて、ポイントをお話しします。
①離婚時期と離婚を切り出すタイミング
まず、離婚する時期という意味でのタイミングとしては、相手の不倫が発覚したとき、相手が正当な理由なく別居を強行したとき、生活費を負担してくれないとき、性生活の考え方が全く合わないとき、DVに耐えられないときなど、要するに夫婦生活をこれ以上続けていくことに限界を感じている場合です。熟年の方の場合は、相手の退職がきっかけになることもあります。
また、お子様がいる場合には、お子様が小さい場合、中学・高校生で受験生の場合、成人の場合によって、今が離婚すべき時期かどうか、様々な考慮要素があると思います。
さらに、離婚後の生活の見通しも重要です。特に専業主婦の方の場合は、一時的に親族等の援助を受けられる場合の他、離婚後は養育費を受け取るとしても、就業して収入を得る必要があります。そのための準備も考えていかなければなりません。
このような考慮要素も重要ですがが、何よりも重要なのは、ご自身のお気持ちです。
お子様のことや離婚後のことを考えると、「もう少し待とう」「子供が中学生になったら・・・」「子供が大学生になったら・・・」「夫が定年退職したら・・・」など、ご自身のお気持ちとは反対にいつまでも離婚を切り出せなくなります。
もちろん、ご夫婦で話し合いをして、関係を修復できればよいのですが、それが難しい場合には、結局ご自身のお気持ちを押し殺して長い年月を生活していかなければなりません。
離婚時期は、ご自身だけでコントロールできないという点も重要です。「これくらいで離婚を切り出して、子供が小学生になるまでに離婚届を出したい」などお考えになっても、いざ離婚の手続を進めた場合に、思いのほか時間がかかり、当初描いていたようにはならないこともあります。
そのため,お話しした考慮要素はあくまでも参考にすぎず、離婚時期に正解はありません。「離婚したい」との気持ちが揺るぎない場合、まさに離婚を切り出すタイミングと言えます。
②どのような状況で離婚を切り出すべきか
離婚時期、離婚を切り出すタイミングになったときに、具体的に相手に離婚を切り出す段階になります。
これは、喧嘩の延長線上などではなく、お二人とも冷静に落ち着いて話し合える状況で離婚を切り出すとよいでしょう。
このことは、離婚原因が主に相手にある場合でも同様です。お二人でヒートアップした状況で離婚を切り出しても、売り言葉に買い言葉、本心でないやりとりになってしまい、後日に相手の言うことが変わったりすることがあります。
また、お子様がいらっしゃる方の場合は、離婚の話し合いはお子様の前でしないようにご留意ください。離婚はご夫婦で話し合うべきことであり、お子様をご夫婦の葛藤に巻き込まないようにすることが重要です。
ケース別の離婚の切り出し方
実際の離婚の切り出し方ですが、明らかに相手に原因がある場合と、お二人の性格・価値観の違いによる場合とで変わってきます。
1 明らかに相手に原因がある場合
不倫、暴力、モラハラ等で、明らかに相手に原因がある場合、まさにその事情を伝えた上で、離婚を切り出せば良いでしょう。相手に落ち度がある以上、証拠がきちんとあれば、きっぱりと離婚を突きつければ足ります。
2 性格・価値観の違いによる場合
性格・価値観の違いによる場合には、工夫が必要です。まず、相手に理解してもらうために、具体的に性格・価値観の違いを説明した上で、現状では関係修復が困難であり、このままであれば離婚しか選択肢がないことを伝えます。
もし相手が建設的な話し合いをしようとする場合には、耳を傾け、話を聞く必要があります。
相手の話がこれまでと全く同じことで改善の余地がないのか、それとも今まではコミュニケーション不足でありまだ改善の余地があるのか、がわかると思います。
離婚を切り出すときの具体的な方法
離婚を切り出す方法ですが、基本的には口頭で直接伝えることが良いでしょう。
もっとも、相手と会うこと自体が危険であったり、すでに別居していて直接会うことが難しい場合には、電話、メール・SNS、手紙で切り出すことも考えられます。
同居していても、最初の離婚の切り出しが直接伝えにくい場合には、離婚について話し合いたい旨をメールや手紙で切り出すこともありうると思います。
また、明確な離婚原因がある場合や、相手が話し合いにならない場合、これまで話し合ってきたが平行線となりこれ以上の話し合いが無駄な場合などは最初から弁護士などの第三者を入れることが良いと思います。
なお、よく親族を間に入れるということもありますが、親族は基本的に自身の親族側の立場ですし、第三者として適切ではない場合が多いです。特に当事者の親の場合は、逆に親の方がヒートアップしてしまうケースもありますので慎重に判断をしていただいた方がよいです。
離婚を切り出した後の流れ
1 明らかに相手に原因がある場合
離婚を切り出した後に、相手が離婚に応じる場合には、慰謝料、財産分与、年金分割、婚姻費用、親権、養育費、面会交流などの条件を話し合います。
もし話し合いでまとまらない場合には、離婚調停を申し立てて、離婚の成立を目指します。
2 性格・価値観の違いによる場合
相手の反応により、半年から1年程度の猶予期間を設け、この間に、今の配偶者と夫婦関係を続けていけるかどうかを決断する期間とすることも考えていただくと良いと思います。
結局修復が難しい場合には、離婚に合意できれば,離婚条件を話し合います。離婚に合意できない場合には、離婚調停を申し立てることになります。
先に離婚を切り出すと不利になるか
先に離婚を切り出すと、相手が「そんなに離婚をしたいなら、親権を譲れ」「財産は渡さない」などと主張し、離婚に応じることをカードにあなたに不利な条件を突きつけ、離婚するためにはあなたが不利な条件に応じざるを得ない状況になってまわないか、と心配される方もいらっしゃると思います。
確かに、ご自身が不倫をして離婚を切り出す場合などは、条件面での覚悟は必要ですが、ご自身に非がない場合には、先に離婚を切り出したからと言って不利になるわけではありません。
そもそも相手に非があるか、あるいは関係修復が困難な状況になっている場合では、相手に有利な条件にする理由はないのです。
離婚を切り出す前に当事務所に依頼するメリット
当事務所では年間150件超の離婚のご相談をお受けしており、離婚問題に特化・精通しております。
さらに、状況別に適切なサポートプランをご用意しております。
1 相手に明確な非がある場合
この場合には、離婚を切り出す前から、証拠の集め方、証拠の評価、さらに提示すべき離婚条件、調停や裁判になった場合の見通しも踏まえて準備する必要があり、離婚を切り出す前に一度弁護士にご相談ください。そして、離婚をするお気持ちが固まっているのであれば、離婚を切り出す前から代理人として弁護士に依頼することをお勧めします(代理交渉プラン)。
2 性格・価値観の違い
この場合には、多くの場合は一度は夫婦で話し合う必要があります。大事な決断となりますので、基本的にはまずはお二人で、修復ができないのかをじっくり話し合う必要があります。
もっとも、この場合でも、その後離婚手続を進める場合に備えて、話す内容等については弁護士のサポートを受けることをお勧めします。まずは代理人ではなく、アドバイスをするサポートプランをご利用いただけます。
そして、一定期間が経過し、いよいよ相手との関係が修復できず、離婚手続へと進む場合に、代理交渉プランへ移行していただくことが可能です。
離婚を切り出す前にご連絡ください
私たちは、あなたが最良の選択をし、今後の人生の再出発を笑顔でスタートできるようにサポートをいたします。
離婚を切り出せない方は、まずは私たちにご相談ください。
この記事を担当した弁護士
みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩み方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。